STEP FOR
PROFESSIONAL

NTTデータには仕事を通して社員が自らのキャリアを描き、形にしていくことが出来るさまざまなフィールドがあります。各フィールドで活躍するNTTデータの社員3名が積み重ねてきたキャリアの道程を通して、なりたい自分を探してみてください。
※写真は取材当時のものです

CASE 02 研究開発

平井 康雅

2003年入社

現在、モバイルセキュリティ技術の研究開発に携わる。ビジネスにつながるような研究開発を行うのが主な役割。以前は社内のテニスサークルで汗を流していたが、ここ数年やや遠ざかり気味。最近、またテニスを再開したいと思っている。

01 Prologue

当時未開拓だったPKI分野で、
研究職としてのキャリアをスタート

Pick up! 当時は、産業界はもちろん、大学院で暗号やデジタル署名の研究に取り組んでいる例は少なかった。

私が学生だった当時は、「電子政府」や「e-Japan構想」などといった言葉がクローズアップされていた時代。もともと数学が好きで、大学院で暗号やデジタル署名に関わる研究に取り組んでいた私は、“誰もが使うシステムの安全性に貢献できるような仕事がしたい”と、漠然と考えていました。

NTTデータの存在は卒業研究の論文調査の過程で知っていましたが、就職先として意識し始めたのは、同じ研究科の友人に誘われて説明会に参加してからです。SI企業でありながら、研究開発部門を持っていることに俄然興味を持ちました。社内ベンチャー制度の存在や将来に向けて積極的に投資をしていることを知り、「ここならセキュリティを含む最先端の技術開発に携わることが出来るだけでなく、それを元に新たなビジネス創造をするチャンスがありそう」と感じたことが、入社のきっかけとなりました。

入社後、配属されたのは、希望通りの技術開発本部。その頃、技術開発本部では電子政府を実現する上で鍵となるPKI(public key infrastructure:公開鍵基盤)やそのプロトタイプ(試作品)の開発に取り組んでいました。PKIというのは電子商取引や電子申請の際に利用者同士がお互い正当であることの認証等に活用される暗号技術。いわばセキュリティのインフラ基盤となるものです。

学生時代の暗号技術に関する研究経験をかってもらい、ある研究機関が暗号技術を用いた属性認証システム(本人特性を用いた認証システム)を開発し、その評価をいきなり任されることになりました。プロトタイプの検証から、導入する際の課題の洗い出しまで、1年近くをかけて報告書を作成。悪戦苦闘の毎日でしたが、大学時代の研究とそれほど大きなギャップも感じず、そういった意味では、研究職として運が良かったのだと思います。

02 Change

初めて特許出願。
初めての海外出張

Pick up! 入社2年目で特許出願を経験。研究をビジネスにする面白さと、難しさを感じた。

研究職として順調なスタートを切ったとは言え、入社後はアカデミックな世界と企業での研究の違いを強く意識させられるようになりました。大学の研究では極端な話、少しでも進歩があれば良しとされますが、企業では決められた時間内で、価値のある結果をださなければなりません。重いプレッシャーにもなりましたが、自分の技術を社会に活かすという手応えも感じ始めました。

入社2年目の最大の成果が、人生初の特許出願。暗号理論における紛失通信OT(Oblivious Transfer)と呼ばれる暗号プロトコル(通信規約)に関わるもので、受信者が送信者に知られずにデータを取ることができるプロトコルです。入社後、前述のシステム評価の案件業務と並行して進めてきた研究開発で、特許取得という形で社会に認められる仕事ができたことに自信と自負を抱いた瞬間でした。

また、入社2年目には初めての海外出張も経験。アメリカで開催されたセキュリティの国際会議に同期と二人で参加しました。われわれのミッションはセキュリティに関わる世界の動向把握と情報収集。さらには新たな研究開発テーマの発掘もミッションの一つでした。帰国後、技術開発本部内の会議で報告。その後、プライバシー保護という観点からの、私にとっては初めての新規研究テーマの設定にもつながりました。この時期は単純な研究職という意識から、技術を実社会にどう活かすかという開発職寄りの研究職へと意識が変化していった時代だったと思います。

03 Breakthrough

暗号の2010年問題に挑む

Pick up! 世界の暗号アルゴリズム基準に提言。自分の技術思想が世界に受け入れられる、大きな成果を得た。

入社4年目にお客様からの依頼で暗号の安全性の低下に関する研究を担当しました。当時、NIST(米国立標準技術研究所)がそれまで使用されていた暗号アルゴリズム(暗号技術の実現方法)を2010年までに利用停止とし、新たな暗号アルゴリズムに移行するという発表が発端となり、日本国内でも暗号の「2010年問題」と呼ばれる移行措置がクローズアップされていました。

コンピューターの処理能力や暗号解読技術の進歩により、データの暗号化や改ざん、認証の検知をする上で重要な役割を果たしている暗号アルゴリズムの安全性が低下してきたため2010年までに対応策を考える必要が出てきたのです。

研究内容は、暗号アルゴリズムの安全性が低下していく経緯、その影響、あるいは現在の暗号アルゴリズムがどこまで安全かなどを検証するものでした。私も含め3人のチームを編成し、約1年間をかけての調査および分析を進め、報告書を作成。お客様からも高い評価を受けました。当時、NISTもワークショップという形で、世界中のセキュリティ技術者たちから新たな暗号アルゴリズムの実装要件を募集していました。私たちのチームはこの研究の成果を基に、暗号アルゴリズムの移行にともなう要件定義をNISTに提言。新たな標準化技術に求められる要件の一部となりました。NISTの基準は日本をはじめ、世界の標準規格に対して大きく影響を与えるものであり、この時期の私にとって大きな成果の一つとなりました。

04 Turning Point

研究職から技術コンサルタントへ

Pick up! この頃からセキュリティコンサルティングの依頼も増え、新規ビジネスの創出にも携わり始めた。

入社5年目頃から、少しずつセキュリティに関わる技術コンサルタントの仕事に携わるようになりました。営業担当者に同行し、お客様に対してセキュリティ全般に関わる対応策やセキュリティ設計についてアドバイスをする機会も多くなりました。研究開発においては最も理想的なセキュリティ環境を追求してきましたが、実際の現場では使用目的やコストなどの条件を考慮し、すべてを導入するか、一部にするか、一部の場合はどこまでの安全性を確保すればよいかなどお客様のケースによって異なり、違った意味での難しさを経験することになりました。

そんな中、ある法人系システムの開発環境におけるセキュリティ改善の依頼が舞い込んできました。セキュリティ設計から実際の開発、そして開発の方法論の確立までを行う大規模な案件の一つでした。実は、この案件はあまりにも難しかったために別の会社が一度断念したものを、当時の課長が二つ返事で引き受けてきたものでした。「平井、やればできるよね?」と課長に言われ、私も漠然とですが「できるんじゃないか」という想いでこのプロジェクトを担当することになりました。

期間は、1ヵ月。厳しい条件の中、「どうやるんだ?」と当初は四苦八苦しましたが、リスク分析とフィールド検証(実地検証)を重ねて、セキュリティ強化を実現。結果、お客様から高い評価をいただくことが出来ました。それは、研究開発で確立した方法論を実際の現場に適用できたことの証でした。これにより私のキャリアは、研究職にとどまらず技術コンサルタントとしての可能性も切り拓かれました。また、技術コンサルタントとしての私たちの役割が、お客様との新しい関係構築や次のビジネスへの導線となることも強く意識するようになりました。

05 Innovation

セキュリティ国際規格の
CC認証を取得

Pick up! 手さぐりの状態から、世界水準の高セキュリティ保証レベルEAL5+の認証取得に成功。スピードと巻き込む力の重要性を実感した。

さらなる技術フィールドの拡大と私自身新たな技術を獲得することとなったのが、入社8年目のICカードの開発プロジェクトです。ICカードは金銭に関わるサービスで用いられることが多く、悪意を持った攻撃者から狙われることがあり、高度なセキュリティが求められる技術領域です。私は本プロジェクトにセキュリティ部分におけるキーパーソンとして携わり、技術的な観点からセキュリティの評価・認証の国際規格となるCC(Common Criteria:セキュリティ評価基準)認証EAL5+の取得活動に関わりました。EAL5+は民生用機器レベルでは最高水準の認証で、国内ではほとんど認証取得をしたことがないものです(ちなみに日本国内の基準はEAL4)。それまでの私にとってICカードは専門外の領域でしたし、難関な認証を取得することでお客様の期待に応えたいというプロジェクト方針の中で、大きなプレッシャーを感じながらの戦いが始まりました。

EAL5以上の認証を取得するためには「ここまでのレベルならOK」という基準がなく、ここまで安全性をカバーしましたがどうでしょうか?という提案型。それをフランスの認証機関および評価機関に納得してもらい、承認される必要があります。しかも、ICカードに関するセキュリティ技術は安全性保持の観点から一般的に公開されていないため、資料で調べることもできず、自分たちで一から研究開発していかねばなりません。社内の専門家や海外のICチップ関連企業の技術者を巻き込みながら、試行錯誤を繰り返し、CC認証EAL5+の取得を達成。この案件は一からの研究開発というR&Dの要素と、スピード感を求められる実案件の側面もあり、入社以来取り組んできたR&Dと実案件の両方の経験が活きた案件となりました。

06 Future

世界をリードする研究開発へ

Pick up! お客様のニーズに応えるだけでなく、自らシーズを探し、世界をリードする技術トレンドをつくっていきたい。

入社後の経験を振り返ってみると、学生時代には経験したことのない研究開発に挑戦できたことや実際の開発現場での経験など、チャレンジングな10年だったと思います。同時に、与えられたハードルが高ければ高いほど、社内だけではなく、社外との連携を強くすることで、そのハードルを乗り越えることができることも学びました。今後はこれまで培ってきた経験やスキルを、一つでも多く後輩社員やプロジェクトメンバーに伝え、組織としての技術力向上につなげていきたいと考えています。

NTTデータは、お客様の要求を的確に捉え、確実に実現していくことが大きな強みの一つです。技術開発部門を見ても、世界中の技術トレンドをウォッチし、それにいち早く取り組み、その分野の第一人者になることや専門家としての取り組みによって業界内で存在感を示してきました。今後は、自らトレンドを形成していくようなコンセプトの立案やビジネス、技術の実現を通して、世界をリードする企業へと変わるために自身としてもその実現に向けて少しでも貢献していきたいと考えています。

※掲載内容は取材当時のものです

PAGE TOP